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特定資産に繰り入れた有価証券の売却(学校法人会計)

column

―コラム―

2017.10.02コラム

特定資産に繰り入れた有価証券の売却(学校法人会計)

学校法人監査において、特定資産に繰り入れた有価証券を売却した場合の会計処理について、質問を受けることがあります。
この会計処理について、従来は決まったルールがありませんでしたが、公益財団法人東京都私学財団から発行された学校法人会計Q&A(2016年度版)のQ264に次の二つの会計処理方法が示されています。

 

【事例】
校舎建設費支払いのため第2号基本金引当特定資産(以下、〇〇特定資産とする)の国債100 を110 で売却した場合の会計処理

 

<第1法>
(資金収支)
借方)支払資金  110  貸方)〇〇特定資産取崩(売却)収入  110
(事業活動収支)
借方)現金預金  110  貸方)〇〇特定資産      100

貸方)〇〇特定資産売却差額  10

 

<第2法>
有価証券への振替
(資金収支)
借方)支払資金      100  貸方)〇〇特定資産取崩収入  100
借方)有価証券購入支出  100  貸方)支払資金        100
(事業活動収支)
借方)現金預金  100  貸方)〇〇特定資産  100
借方)有価証券  100  貸方)現金預金    100

 

有価証券の売却
(資金収支)
借方)支払資金  110  貸方)有価証券売却収入  110
(事業活動収支)
借方)現金預金  110  貸方)有価証券      100

貸方)有価証券売却差額  10

 

この二つの会計処理方法について私見を述べさせていただきます。
まず、第1法は次の二つの理由により適当な会計処理であるとは思えません。
①学校法人会計基準で小科目は原則として形態分類とされていること
②有価証券のようなリスク商品の売買については計算書類できちんと明示すべきであること
したがって、有価証券の売却であることを明示した第2法の方がより取引の実態を表示していると言えますが、この方法にも特定資産を有価証券に振り替える処理を資金収支で行うことに無理があると思います。無理やり資金収支を通したことにより、有価証券を売却しただけの取引に有価証券購入支出がでてきてしまい違和感を拭えません。この会計処理では、特定資産から資金を引き出し、その資金で有価証券を購入し、短期の利ザヤ狙いですぐにその有価証券を売却した取引にしか見えないのです。
結論として、私がベストと考える会計処理は以下のとおりです。

 

有価証券への振替
(貸借対照表)
借方)有価証券  100  貸方)〇〇特定資産  100

 

有価証券の売却
(資金収支)
借方)支払資金  110  貸方)有価証券売却収入  110
(事業活動収支)
借方)現金預金  110  貸方)有価証券      100

貸方)有価証券売却差額  10

 

また、有価証券を購入して特定資産に繰り入れた場合、実務上、以下の会計処理をされているケースが多いと思います。

 

(資金収支)
借方)〇〇特定資産繰入支出  100  貸方)支払資金  100
(事業活動収支)
借方)〇〇特定資産  100  貸方)現金預金  100

 

この会計処理では、いかにも内部資金を特定資産に振り替えただけのように見え、有価証券の購入という事実を表示しているとは言えません。したがって、以下のように会計処理すべきと考えます。

 

(資金収支)
借方)有価証券購入支出  100  貸方)支払資金  100
(事業活動収支)
借方)有価証券    100  貸方)現金預金  100
借方)〇〇特定資産  100  貸方)有価証券  100

 

以上、あくまでも私見ではございますがいかがでしょうか。

 

法人代表  谷口 誠幸